汚れにくい外壁にしたいんだけど、どのような計画にすればよい?
この記事で書いている対策を行うことで外壁を汚れにくくすることができ、家の外観を綺麗に保つことができます。
なぜならこの記事は年間15棟の住宅を設計する現役建築士が、実務経験、実体験、住まい手の意見を参考に書いている記事だからです。
外壁が汚れる家とほぼ汚れない家の違いはなんなのか。実際に汚れている外壁の事例をあげ、その有効な対策を考えます。
外壁が汚れないヒミツに興味がある方は是非この記事を最後まで読んでみてください。
外壁で汚れやすい場所は
まずどのような条件下で外壁が汚れるのかを考えましょう。外壁の汚れ対策に失敗した実例です。
窓の下
部屋の腰窓や水まわりの小窓などの窓の下はとても汚れやすい場所です。
窓の端から黒い雨垂れが下に延びます。おそらく何度も目に入っている光景だと思います。
換気扇の下
換気扇の下も窓下と同様、雨垂れが尽きやすいです。
特にキッチンの換気扇は油も含むので、より頑固で落ちにくい汚れです。
北側の外壁
日が当たらない北側の外壁はコケが生えて緑色に汚れていきます。
周囲に田畑や林などがあるとより汚れやすくなります。
バルコニー手すりの下
バルコニー手すりの下には雨垂れが出やすいです。
手すりに汚れがたまる→手すりに雨が降る→黒い汁が垂れる→汚れがつく
これ外構の塀や門柱などでも同じことが言えます。
外壁が汚れにくくなる具体策4つ
それではこれらの失敗事例はどうすれば防げるかをご説明します。
具体策は以下の4つです。
- 屋根を寄棟にして軒を深くかける
- 換気扇はなるべく壁出しでなく軒天出しにする
- 親水加工の外壁材を使用する
- 薄いブラウンなどの外壁色にする
屋根は寄棟にして軒を深く
外壁が汚れる1番の原因は雨です。雨が外壁にあたると、汚れが雨垂れとなったり、空気中の胞子が外壁に付着しやすくなったりします。
雨が外壁に当たらないようにすることで外壁は格段に汚れにくくなります。最も有効な屋根形状は寄棟です。
寄棟は建物の全方向に水平に軒がかかる屋根形状なので外壁が最も濡れにくくなります。また、軒をなるべく長く出すことで横なぐりの雨も防いでくれます。
綺麗な外壁の家を見つけたら、屋根を見てみて下さい。その家は高い確率で寄棟で深い軒だと思います。
換気扇は壁付でなく軒天出しに
外壁に付く雨垂れをなんとかしたいとき、外壁に部材を付けずに凹凸を減らすことが重要です。部材というのは具体的に、サッシや換気扇です。
サッシを無しにするのは間取りにも影響があるため簡単には出来ませんが、換気扇は軒天出しにすることは比較的簡単です。
換気扇を軒天出しにできる条件は、
- 室内天井付きの換気扇であること(壁付の換気扇はそのまま壁出しにしかできない)
- 最上階(天井裏は屋根)の換気扇であること
の2つです。可能な限り換気扇の排気は軒天出しにしましょう。
親水加工の外壁材を使用する
外壁材の表面を親水加工にすると汚れに対して非常に効果的です。
親水は撥水の逆です。空気中の水分や雨水が外壁の表面になじんで、水のコーティングを作ってくれます。そうすると外壁に汚れはつきにくくなり、また付いても落ちやすくなります。
水玉ができないため、水の跡がつきにくいことも大きなメリットの一つです。
今現在では窯業系サイディングやタイルに親水加工が施された外壁商品があります。
親水コーティングを現場で塗装することもできますが、外壁ほどの大きな面積となると作業量が多くなり費用も高額になります。
汚れにくい外壁を選びたいなら極力、親水加工がされたサイディングやタイルの商品を選びましょう。
薄いブラウンなどの外壁材の色にする
外壁色によって汚れの目立つ、目立たないが分かれます。最も汚れが目立たない色は薄いブラウンです。
外壁が汚れる原因は雨垂れと白華です。外壁が白いほど雨垂れが目立ち、外壁が黒いほど白華が目立ちます。
外部で風雨にさらされていたらどんな外壁でも多少は汚れるもの。色次第で小さなストレスが減るかもしれません。
白華(はっか)とは
→建築材料(コンクリート、モルタルまたは木材)の表面部分に浮き出る白い生成物のことである
引用元:Wikipedia
まとめ:これら4つのうち2つ満たせばほぼ外壁は汚れません
汚れにくい外壁にするためには以下の4つが重要です。
- 屋根は寄棟にして軒を深く
- 換気扇は壁付でなく軒天出しに
- 親水加工の外壁材を使用する
- 薄いブラウンなどの外壁材の色にする
このうち2つを満たせば外壁の汚れはほぼ気にならなくなります。