・壁紙はどのように決めたらいいの?
・壁紙の失敗ではどのようなことがある?
この記事を読んで頂くと壁紙で失敗しないためのヒントがわかります。
なぜならこの記事は、年間15棟の住宅を設計する現役建築士が実務体験や住まいてからの感想などを元に検証を行なって書いている記事だからです。
壁紙選びは家づくりの中でもとてもお悩みが多いポイントです。たくさんの種類から選べるだけに決めきれないし、SNSでたくさんのおしゃれな壁紙の写真が目に入りのでますます決めきれません。
この記事を読んで壁紙選びで失敗しない方法と迷わないための考え方を学んで頂けたら幸いです。
壁紙の失敗例
まずは壁紙での失敗例をご紹介します。以下の5つはよくある失敗です。
好みの色じゃない
こんな色だと思わなかった…
いざ貼られたら好みの色じゃなかった、という失敗です。
サンプルで確認をしているのになぜこのような失敗が起こるのでしょうか?理由は以下の3つが考えられます。
- サンプルが小さ過ぎた
- 明るさの環境の違い
- 施工写真を確認していなかった
『面積効果』というものがあります。面積が大きければ色は明るく見えるというもので、小さいサンプルと壁に貼られた壁紙の色は違って見えるのは面積効果が原因かもしれません。
色が強かったり珍しい色合いの壁紙を選ぶ際はなるべく大きいサイズのサンプルで確認する必要があります。
また、明るさの環境により見え方が全く違うことがあります。自然光で見るのか、白い照明で見るのか、黄色い照明で見るのか、上を向けるか立てて見るのか、逆光なのか、など。
実際に近い環境で確認しなければイメージ違いが必ず起こります。
最も効果的なのは施工写真を見ることです。完成形をイメージするより完成形を見た方が色味を正確に把握できます。
SNSやGoogleの画像検索機能も活用してチェックしてみましょう。
好みの柄じゃない
想像していた柄じゃない…
柄もののイメージ違いはダメージが大きいです。気に入らない柄ものの壁紙は苦痛でしかありません。
柄に関しても色と同様、大きなサンプルや施工写真を確認することで失敗を防ぐことができます。
特に確認したいのが、柄の大きさとリピートです。
小さいサンプルでは柄全体が確認できない場合があります。また、リピート(繰り返しのデザイン)も商品によって様々なので、なるべく大きなサンプルや施工写真で確認しましょう。
機能の検討不足
壁紙にいろんな種類があったなんて知らなかった…
壁紙には様々な機能があります。以下は人気のある機能です。
- 防汚
- 防カビ
- 吸放湿
防汚機能が付いているものは表面に汚れが付着しにくく、拭き掃除もしやすい材質になっています。玄関などにお勧めです。
防カビは湿気のこもりやすい洗面所やトイレにおすすめです。
吸放湿機能があると壁が湿気のコントロールをしてくれます。湿気や乾燥を防いでくれるのでリビングや寝室に向いています。
床やドアに合ってない
壁紙自体は好きだけど周りと合ってないな…
壁紙は周りとの相性が大事です。そのためには単体で見るのではなく、コーディネートが重要になります。
ここで重要なのはほとんどの場合は壁紙は脇役であるということです。床や家具やカーテンを引き立てるために空間に馴染ませた方がインテリアは素敵になります。
それだけにインテリアはトータルコーディネートが必要です。家具やカーテンを別々に購入すると色合いを合わせるのが難しくなります。
アクセントクロスで攻めすぎた
遊びをいれたくて挑戦してみたんだけど…
せっかくだからどこかをアクセントクロスにしたいという発想になりがちですが、『壁紙の変え過ぎ』による失敗が多いのも事実です。
失敗が起きてしまう理由は、空間のコーディネートを考えないまま興味本位だけでアクセントクロスにするから、です。
本来は、『壁紙がアクセントになるのであればその他の家具やカーテンはシンプルに…』といった具合に、空間全体でコーディネートをする必要があります。
迷ったら変えない。その方が確実に綺麗なインテリアになります。
壁紙で失敗しないためのプロからの提案
壁紙で失敗しないための方法はいくつかありますが、とても簡単な5つをご紹介します。
一種類で全室張ったって良い
貼り分けないという方法があることを理解しておきましょう。一種類だけで家中をまとめたって良いんです。
シンプルなインテリアになって綺麗ですし、これなら色合いの失敗はあり得ません。
また、メンテナンスが容易であることも大きな利点です。将来的に補修用に必要な壁紙が一種類で済みます。
飾りは住んでからだってどうにでもなります。観葉植物や置き家具、置き型照明などで空間をデザインするという楽しみも残しておきましょう。
むやみやたらに変えない
どうしてもアクセントクロスにしたい場所だけ変えましょう。『なるべく変えない』という発想でいた方が良いです。
ところどころで変えると統一感のない、がちゃがちゃしているインテリアになってしまいます。
強い色や柄のアクセントクロスは飽きる
個性的な壁紙は飽きがきやすいです。飽きても気安く貼り替えれるものではないため、強い色や柄を使用するときは注意が必要です。
壁紙を変えると空間が面白く見えますが、壁紙でアクセントを検討する前に家具や雑貨などで代替できないかどうかを考えましょう。
どれだけリアルでも所詮壁紙
壁紙には様々な模様があり、コンクリート柄、タイル柄、木目柄など、再現性高くプリントされています。
しかし、所詮はプリント。どれだけ質感が高くても本物の質感にはかないません。
見る人が見ればすぐにわかりますし、光の当たり具合などでもわかります。壁や天井に張り付けてしまう仕上げ材は後々やりかえが難しいため、玄関やリビングなどは特にフェイク柄は避けた方が良いです。
間接照明の時の注意点
間接照明の計画は増えていますが、間接照明と壁紙の計画は深い関わりがあります。
なぜなら、間接照明は壁や天井を照らす照明だからです。照射面である壁や天井に不陸があるととても目立つため厚い壁紙を選ぶ必要があります。
壁紙はこだわりすぎると変になる【最終的にはプロに任せるのが一番】
壁紙の選択で失敗しないためのノウハウを挙げましたが、結局は信頼できるプロに任せるのが一番です。
なぜならインテリアコーディネーターや建築会社は完成形をある程度イメージできた上で判断できるからです。プロの意見を聞かずに我を通すと完成後思わぬミスマッチに気づいたり、数年後に飽きてしまうインテリアになってしまうかもしれません。
プロの意見は意外とシンプルです。空間の主役と脇役のバランスを考えた時に壁紙が主張しすぎないことの方が多いためです。空間の主役はなにか、そのために壁紙は主張すべきか控えめにいくべきかをよく考えましょう。