この記事を読むと失敗しない玄関扉の選び方がわかります。
なぜならこの記事は年間15棟の設計を手掛ける現役建築士が自身の実務体験と実際に住んでいる住まい手の感想を元に書いている記事だからです。
玄関ドアは毎日利用するため、ストレスなく使用できることが非常に大事です。玄関扉の使い勝手にストレスがあると、毎日ストレスを抱えて生活することになります。
そうならないためにこの記事からよくある失敗談や気をつけることを学んでください。
玄関扉はここに注目
玄関ドアを選ぶ際はこのような要素に注目しなければなりません。
開き方
玄関ドアには開き方(形状)の種類があります。主に以下の5種類です。
1 親ドア …通常の開きタイプ。最も価格が安い。
2 袖フィックス …親ドアの端にフィックスガラスがついているタイプ。採光性に優れる。
3 親子ドア …親ドアに小さい子扉がついているタイプ。見栄えが良く、いざという時に開口が大きく取ることができる。
4 片引き戸 …ドアが横にスライドするタイプ。手前にスペースを必要としないので玄関ポーチのスペースを有効に使える。
5 引違い戸 …2枚(4枚タイプもあり)の扉のどちらかが開くタイプ。和風に適す。
主にこの5種類です。
錠の種類
防犯性を考慮して2つ錠がついている(2ロック)玄関扉が一般的です。ピッキングやこじ破りに対して対策されたものがお勧めです。※写真はLIXIL社製の鎌付デッドボルト

また、最近はキーレスタイプも急増中です。カードやリモコン、スマフォで解錠するタイプもあります。
通風
開き扉の場合、玄関扉自体を開けることは難しいのが難点ですが、小窓が開く通風タイプもあります。
当然網戸もついているので安心して玄関の通風を確保できます。
採光
玄関扉自体についているスリット窓がから光を取り入れることができます。
細い窓でも有るのと無いのとでは玄関の明るさは全く違います。
断熱
玄関はそもそも寒い(暖房をつけない場所)ので、扉自体の断熱性能は重要です。
国の定めた省エネルギー基準に合わせて能力値(熱貫流率)をカタログ表記しています。
玄関扉の失敗談 商品に関すること4つ
実際に住んでみて方からよく聞く声をご紹介します。ご自身の計画に当てはめて参考にしてください。
引き戸にすればよかった
玄関ポーチが狭いから引き戸がよかった…
玄関ポーチが狭いなら引き戸にする方が良いです。
なぜなら引き戸は横にスライドするため、限られた玄関ポーチのスペースを有効に使えるからです。
玄関ポーチに向かって扉が開くと、人が立つスペースが狭くなります。狭い玄関ポーチでその状況になると階段から足を踏み外しやすくなるため危険です。
また、車いす対応で引き戸を希望する人もいますが、たしかにポーチ側にスペースを必要としないという面においては適切な計画だと思います。ただ、引き戸をあけるときは開き戸とは違う力を必要としますので、場合によっては引き戸の方が開けにくいという人も少なくありません。
開き戸にすればよかった
引き戸が良いって聞いて引き戸にしたけど…
玄関戸は開き戸の方がよい場合もあります。
それは開けやすさと建付けです。今の開き戸は金具の性能が良く、少ない力でスムーズに開閉します。
また、レールを滑る引き戸に比べて吊元の金具だけで支えている開き戸の方が構造がシンプルで狂いも少ないです。玄関ポーチの広さに余裕があればほぼデメリットもありません。なお、金額も開きドアの方が格段に安いです。
玄関ポーチのスペースの問題がなければ玄関扉は開き戸の方が良いです。
ガラス入りにすればよかった
昼間でも暗い玄関は嫌だな…
玄関ドアの商品は様々で宇が、ガラス入りの玄関ドアの方がお勧めです。
なぜなら、細いスリットでもあるのと無いのとでは室内の明るさが全く違うからです。
また、ガラスがあるからと言って防犯性や断熱性が落ちたりはしません。ガラス破り対策に有効なセキュリティサムターンはサッシメーカーでは当たり前の仕様になっていますし、ガラス入りでも変わらないその断熱性能が明確にカタログ表記されています。
ガラス有りと無しで迷ったら、絶対にガラス有りの方が良いです。
デザインに拘ればよかった
他の家をよく見るといろんなかっこいい玄関ドアがあるのね…
玄関ドア選びに時間を掛ける人は少ないです。
なぜなら建築会社が選べる仕様をある程度絞っているからです。この中から選んでください、という風に。
でも標準仕様以外にも選定はできます。それに玄関ドアは幸いどの家でも勝手に見ることができるので、好みの玄関ドアを自分で探して注文しましょう。
少しくらい金額が上がってでも、人と被らない、好きなデザインを選んだ方が良いでしょう。
玄関ドア失敗談 付随する計画4つ
ここからは玄関まわりの計画の失敗です。玄関に付随する部分も利便性を考えましょう
庇が短か過ぎて雨で濡れる
雨のたびに嫌になるな…
玄関の庇が短いと玄関はとても使い辛いです。
なぜなら雨が降り込んでくるから。傘を差すのも大慌てですし、玄関ポーチが汚れやすくなります。
気象庁のデータを参考に雨の日数を計算したhttps://todo-ran.com/によると、雨天日数(降水量が10mm以上だった日数)の全国平均は年間47.6日。これは約13%で、7~8日に1日は雨という結果です。
小降りの日を計算すると更に頻度が上がります。
玄関の庇はなるべく長く確保しましょう。
郵便ポスト、宅配ボックスの位置を軒下に変えたい
郵便物を取るのに傘をさすのがすごく面倒…
ポストは玄関ドア近くの軒下がベストです。
なぜなら雨の日でも傘を差さずに、スリッパのまま郵便物を取りに行けるからです。
ひょっとすると最近は郵便物より宅配物の方が多いかもしれません。新聞を取る家庭は減っていますがネットショッピングをする家庭はとても増えています。軒下に宅配ボックスがあるととても便利です。
郵便ポスト、宅配ボックスの位置は自分達が取りやすい位置を考えましょう。
キーレスタイプにすればよかった
いちいちカギを出すのが面倒…
玄関ドアのカギは絶対にキーレスにしましょう。これは絶対です。
今や車のキーはほとんどリモコンですよね?カギを差し込んで回す車の方が少ないくらいです。家もそのうちそうなります。
無くても困らないものですが、あると本当に便利なのが普及の要因だと思います。暗いときや荷物が多いときでもバッグから出す必要がなく施錠解錠をすることができます。
キーレスにして後悔することはまずないかと思います。
ドアホン連動にすればよかった
カギを開けるのって意外と面倒…
来客時にカギを開けるのは意外と面倒です。
なぜなら玄関まで行く手間や玄関扉まで手を伸ばすためにスリッパを履手間が発生しするからです。
ドアホンと玄関の施錠システムを連動させるとドアホンから解錠ができます。ドアホンで受け答えた後にすぐに解錠できるというのがメリットです。リビングが玄関から離れている間取りではなおさら大活躍します。
余裕があればドアホン連動にしましょう。
スマホまで連想できるタイプも出ているので、興味がある方は是非。→LIXIL HP
玄関ドア選びで失敗しないために必要なことは6つ
玄関ドア選びで失敗しないためには以下の6つが必要です。
- ポーチのスペースや重さを考慮して玄関ドアの開き勝手を考える
- 玄関の明るさや風通しを玄関ドアで賄う必要があるか考える
- メーカーのカタログから沢山の商品を見てデザインにこだわる
- ポーチには長い庇を設ける
- 錠は絶対にキーレスにする、場合によってはドアホン連動
- ポストや宅配ボックス位置をなるべく近くにする
どのような計画でも必要な6つになります。