新築で屋根の形状を検討する際、片流れ屋根はなるべくやめた方が良いです。
なぜなら年間15棟の設計を手掛ける現役建築士の経験上、片流れにしてよかったという住まい手がほとんどいないからです。住んでからの後悔の声がとても多い。それが片流れ屋根の現状です。
住んだ後になんとかなる失敗はたくさんありますが、屋根形状等の基本プランの失敗は後々の対応が難しいです。何とかしようとリフォームをすると莫大な費用がかかります。
片流れ屋根にどのようなリスクがあるのかをご説明します。計画する前に是非読んでほしい記事です。
雨漏りのリスクが高くなる
片流れ屋根は将来的な雨漏りのリスクが高くなります。
なぜなら外壁部分や外壁と軒下の継ぎ目の部分が風雨にさらされてしまうリスクが高まるからです。
陸屋根と呼ばれる箱型の屋根も同様です。キューブ形状の家は流行っていますが、高温多湿の日本の気候ではリスクも大きいです。
家の寿命を考えると、深い軒がかかる昔ながらの屋根形状の方がお勧めです。
外壁が汚れる
片流れ屋根は外壁が汚れます。
前項の雨漏りの話と同じで、雨で外壁が濡れやすいので汚れがついたり藻が生えたりする原因になります。
特に北側の外壁は悲惨です。外壁についた水分がなかなか乾かないので、築浅でも土地条件によってはあっという間に外壁が汚れます。
片流れ屋根にすると外壁がとても汚れやすいため、少しでも汚れが目立ちにくいように光触媒加工が施された外壁にする、親水加工が施された外壁にするなどの対策が必須です。
雨が降り込む
通風のために開けていた窓から雨が降り込みます。もちろん、軒のかかりが少ないからです。
雨が降り込むと床や壁が濡れて内装が傷んでしまいます。すぐに拭くなど処置ができるといいですが、気づかない時もありますよね?
何よりこういったリスクがあることで、日常生活で気をつけなければいけない部分が増えてしまうことがストレスになります。
特に平家の場合や二階建ての二階部分は屋根の影響を大きく受けます。雨を塞いでくれる軒はとても大事です。
雨音がうるさい
雨が窓ガラスにあたり、その音が室内に響きます。
普段家族で会話をしたりテレビを見たりするリビングなどで気になるのはもちろん、子供部屋で勉強しているとき、寝室で寝ている時もこれはとても気になる音です。
普通の屋根形状の家は軒が遮ってくれているので気づかないのですが、モダンな屋根形状の落とし穴とも言える大きなデメリットです。
窓庇をつけることで幾分かは改善はできますが、深く軒をかけるのがベストです。
暑い日差しを遮れない
片流れ屋根は夏の暑い日差しを遮ることができません。
理由は繰り返しになりますが、軒が短いから。長い軒は雨風だけでなく夏の暑い日差しも遮ってくれます。ちなみに軒を長く作っても冬の日差しはしっかりと室内に取り込んでくれます。冬は昼間でも太陽が低い位置にあるためです。
一年を通して寒暖が激しく、高温多湿の日本の気候には軒の長さが必要ということがこのことからも言えます。
まとめ:片流れは日本の気候に合ってないからやめた方が良い
片流れはカッコいいですが、機能性と合理性から考えるとやめた方がいいです。その理由は、
- 雨を凌げないので雨漏りのリスクが高くなる
- 雨を凌げないので外壁が汚れやすくなる
- 雨を凌げないので開いた窓から雨が降り込む
- 雨を凌げないので窓ガラスにあたる雨音がうるさい
- 暑い日差しを防げないので暑い
日本の気候は高温多湿。昔の家のように深い軒を作る方が適しています。
モダンな外観が好きな場合、片流れを最初から検討するのではなく、まず深い軒にして好みの外観ができないか検討してみた方が良いと思います。
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