・漆喰を検討しているけど、殆どの人がクロスだからなんとなく心配。
・珪藻土でどんな失敗例がある?
漆喰や珪藻土にはいくつかデメリットがあり、この記事ではそのリスクを学んで頂くことができます。
なぜなら年間15棟の設計をする現役建築士がその特徴や失敗例を解説するからです。入居後の住まい手の感想なども参考にしています。
塗壁は施工もメンテナンスも難しく、リスクを負いたくないなら塗壁はやめておいた方が良いです。今現在の住宅のほとんどがビニルクロスなのは、大半のご家庭にはビニルクロスが向いているからです。
SNSなどに出回る情報や綺麗な画像からは漆喰や珪藻土の良い部分(見栄え、調湿効果、消臭効果)しかわかりません。デメリットをしり、メリットと正しく天秤にかけて計画しましょう。
漆喰と珪藻土
まず人気の天然壁仕上げ素材である漆喰と珪藻土に簡単にご説明します。
漆喰とは
漆喰とは主原料を消石灰(水酸化カルシウム)とする壁仕上げ材料です。
サンゴ礁から取れる石灰石を焼いて、ノリなどと混ぜたあとに水で練ることで生成されます。
漆喰は乾燥や湿気を防ぐ効果や、耐久性が高く光を明るく反射させる性質があることから、蔵の内壁や武家屋敷の外壁に使用されてきました。
現代では吸放湿性能、抗菌作用、非帯電性(静電気が発生しない)などから住宅の内装材として人気を集めています。
珪藻土とは
漆喰と同列で扱われる珪藻土ですが、大きく異なるのはその主原料です。
珪藻土は文字通り土です。海や湖に生息していたプランクトンの死骸が堆積してできた土が珪藻土です。
断熱性と耐火性に優れており、七輪の材料として使用されていました。近年では内装材や雑貨として使用されており、漆喰よりも脱臭性能と吸放湿性能に優れています。
また、漆喰と比較すると工事金額が安価です。施工性のために沢山の配合物(石灰、粘土、セメント、合成樹脂)が添加されていることも特徴の一つです。
漆喰や珪藻土の失敗談
良いことばかりに聞こえる漆喰や珪藻土ですが、ここからが失敗談です。
塗壁は割れる
塗壁にはヒビが入ります。地震で家が揺れた時や、激しい乾燥収縮があったときなどは必ずと言って良いほどです。
建築段階でどれだけ割れにくいような対策を取っても割れます。塗壁とはそういうものです。
しかもそれは経過年数に関係がなく、新築後1年や2年で割れることも珍しいことではありません。新築なのに壁が割れるなんて許せないと思う方は漆喰や珪藻土はやめた方が良いでしょう。
普通に汚れる
静電気が発生しないためホコリなどの汚れはつきにくいのですが、染み込みやすいという特徴があるため汚れやすいとも言えます。
コーヒーをこぼしたり、泥が跳ねたりしたらなかなか落ちず、汚れが目立ちます。
ビニルクロスと違って水をはじかず、汚れを拭き取ることということが難しいため、こびりついたしつこい汚れには一苦労してしまうかもしれません。
ポロポロ落ちる
壁の表面はザラザラしているため、物が当たったりしてしまうと表面が削れて白い粉が落ちます。
廊下や階段などで壁に触れないってなかなか難しいですよね?クローゼットや物入れの中なども塗壁は避けた方が良さそうです。
補修が難しい
割れた箇所や汚れた箇所を部分的に補修するのは簡単ではありません。
なぜなら、部分補修をするためには
- 材料を水で練る
- できた塗料をコテで壁に塗る
- 乾くまで待つ
という作業が必要だからです。
クロスを貼り直すことに比べれば簡単、という意見もありますが、クロスは簡単な補修であればジョイントコークを絞って指で馴染ませるだけで完了します。ちょっとした補修ならクロスの方が遥かに楽です。
素材ごとに取り扱いが異なる
漆喰、珪藻土には様々な商品があります。それぞれに施工方法や取り扱いが異なるため、熟練の腕を持った左官職人でも施工に失敗することもあります。
そのため取り扱ったことがない商品ならプロでも試し塗りをします。それくらい塗壁は、練り方、塗り方、乾かし方などが難しいのです。
DIYでの塗壁も流行っていますが、玄関など目立つ場所をするのは最後にした方が良いです。
まとめ:生半可な気持ちで漆喰や珪藻土は計画しない方が良い
ちょっと流行ってるから、なんとなく雰囲気が良さそうだからという理由で漆喰や珪藻土を計画するのはやめた方が良いでしょう。
漆喰や珪藻土の魅力はたくさんありますが、デメリットを把握しておかなければ必ず後悔します。
- 塗壁は割れる
- 塗壁は汚れる
- 塗壁はポロポロ落ちる
- 塗壁は補修が困難
- 塗壁は素材ごとに取り扱いが異なる
このリスクを背負う覚悟があって、それでも魅力を感じる方は計画されたら良いと思います!
ちなみに珪藻土調クロスなど、良いとこ取りの商品もあるのでご参考にされてください。