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床材の選び方を一挙公開。床材で失敗しないために知っておくべきこと

・床材の選び方を知りたい

・床材選びで失敗したくない

・どんな床材が人気なの?

この記事を読んで頂くと床材選びで失敗しない方法がわかります。

なぜなら、年間15棟の家を設計する現役建築士が床材選びの際に知っておくべき知識や迷わない選び方を記事にしているからです。実際に床材を選んだ住まい手の失敗例や実体験も紹介します。

床材はインテリアの主役なので絶対に失敗したくないところです。そしてカーテンや家具のように買い直すということができません。床材を張り直すのは大変なリフォームになってしまいます。

失敗しない床材選びの方法を学んで後悔の無い家づくりをしましょう。

床材の種類

床材の種類は大きく分けて3種類あります。

  • 木質系
  • 天然素材
  • 人工素材

です。それぞれ特徴が異なるため簡単に解説します。

木質系

床材の材質は木材が最も一般的です。その中でも,

  • 無垢フロア
  • 挽板フロア
  • 突板フロア

の3種類に分かれます。

無垢フロア

無垢フロアは最も高級な木質フロアです。

床材の厚みは12ミリ前後が一般的ですが、合板などを接着せずに木をそのままの厚みで使用しています。

材料費が最もかかる製材の仕方なのでコストは高くなりますが、見た目、香り、足への負担の軽さなど、どれをとっても他の床材より優れています。

素材に拘りたいという本物志向の方におすすめです。

挽板フロア

途中まで合板でつくり、表面を2ミリほどの厚みに挽いた木材を貼り付けているフローリングです。

12ミリだとしたら合板が10ミリ、無垢の木が2ミリといった感じが一般的です。

無垢フロアよりもメンテナンス性や機能性が良いため、意匠性だけでなく機能面にも拘りたい方には挽板フロアがおすすめです。

突板フロア

突板フロアは合板フロアとも呼ばれます。最も一般的なフローリングです。

表面に貼っている木材は0.1ミリほどのスライスした木のため、ほぼ合板でできています。

特徴は傷に強いことです。子供部屋等の床材に向いています。

天然素材

木の他に自然素材を使っている仕上げ材もあります。部屋の用途に合わせて使い分けしましょう。

い草を使用した畳はとても風情があります。

フローリングより表面が柔らかいため、洗濯物を畳んだり昼寝をしたりしやすいです。

最近は和室自体設けない家も多いですが、リビングに2〜3畳ほどの畳コーナーを設けたりリビングに畳を貼ったりする計画もあるため畳は未だお馴染みの床材です。

また、最近は畳をい草ではなくて和紙や樹脂でつくる場合もあります。

タイル

水や熱、汚れなどに対してとても強いのがタイルです。焼物のためとにかく丈夫で、高級感もあります。

土間部分の他に、居室の窓際や水まわりに使用することや、ペットスペースに利用することもあります。

天然石を使用した石材(エンジニアドストーン)を床に貼るとマンションのエントランスのような高級感が出ます。

高級仕様なのであまり馴染みがないですが、特別な仕様にしたいときにはもってこいです。部分的に使用するだけでも一気に空間の雰囲気を変えることができます。

人工素材

人工素材は機能に優れているものが多いです。

シート+合板

合板の表面にシートを貼ったシートフロアは現在とても普及しています。

シートの柄を変えると石目調、タイル調、木目調など様々な雰囲気を自由に計画することができます。

シートなのでワックスなどが不要なのも良いところ。水まわりはシートが機能面でもコスト面でもおすすめです。

フロアタイル

3ミリ前後の厚みで、タイルほどの大きさに生成された塩ビ(ポリ塩化ビニル)材質の床材です。

様々な柄や色合いが実現可能なためとても人気で、その防水性の高さから水まわりで使用されます。

質感こそ天然素材に劣るものの、安価で施工性も良く、SNSでも多数紹介されている人気の床材です。

クッションフロア

文字通りクッション製のある塩化ビニルのフロアです。フロアタイルと同じ材質ですが、異なるのはその形状と施工性です。

幅広(幅は1.8mほどの商品がほとんど)のシートがロール状になっており、部屋に合わせてカットして使用します。

隙間が空かないので防水などは優れていますが、繋がっているがゆえに補修は他の床材よりも難しいかもしれません。

カーペット

繊維系床材であるカーペットは断熱性能や防音性能に優れます。

また、物音が下階に響きにくいです。集合住宅で重宝されます。

座っても寝転んでも体が痛くなりにくいのはメリットですが、ゴミや湿気がたまり不衛生になりやすいのが難点です。

オフィスなどでは規格サイズを並べて施工するタイルカーペットがよく使われています。

よくある床材の失敗

以下にてよくある床材の失敗をご紹介します。

何もかもにおいて完璧な床材というのはありません。どの床材を選んでも、それなりのリスクがあります。

お手入れが大変な木質系

床は面積が広いからメンテナンスが大変…

木質フロアはメンテナンスが必須です。

ワックスフロアなら年に一回のワックス、オイルフロアなら色が白けたり傷みが気になったタイミングでオイル塗りが必要です。

特にオイルフロアはシミなどもできやすいので注意が必要で、見た目の良さだけで選ぶと大変です。メンテナンスを楽しみながらできる人じゃなければ厳しいと思います。

どのようなメンテナンスが必要かを考えて選びましょう。

各部屋で色を変えすぎ

あれ、なんかインテリアにまとまりがない…?

各部屋で床材を変えたがる方がいますが、お勧めしません。

色んな床材を使いすぎると建具を開けたときに違和感があるし、ツギハギで作ったようなインテリアになります。

どうしても変えたい時は2種類まで。3種類も4種類も床材(床の色)を変えないようにしましょう。

部屋ごとの雰囲気は壁紙やカーテンを変えてお好みの雰囲気にする方がつぶしも効いてよいです。床材はなるべく統一するようにしましょう。

タイルは堅い、冷たい、痛い

コストをかけてタイルにしたものの…

タイルは見栄えも良く室内に使われることがありますが、『堅い、冷たい、痛い』というデメリットがあります。

長時間いる場所には不向きで、

  • 防水が必要な水まわり
  • 土足で使用するインナーテラス
  • 薪ストーブや暖炉など、耐熱を考慮

と言ったケース以外はあまりお勧めできません。

人工素材は傷が味にならない

最初は良かったけど…

生活をしているとすり傷や凹み傷は必ず入ります。そしてシートなどの人工素材の傷はとても目立って見栄えが悪いです。

どの素材でも傷は傷ですが、天然木や天然石などの傷や色変わりは風合いとも見れます。アンティークという言葉は古さや時間の経過を美化した言い方ですが、天然素材にしか使われない言葉です。

床材選びに迷ったときのおすすめ

これらのような失敗をしないように、と考えると床材選びは余計に時間がかかってしまいます。そこで、迷った時におすすめの決め方をいくつかご紹介します。

色合いは明るめに

迷った時、床材は明るめにしましょう

なぜなら明るい床材の方が空間が明るく広く見えるからです。お好みはありますが、明るくて広いリビングが嫌いな人はいないと思います。

また、家にいるのはほぼ夜で、昼間よりも夜中の方がインテリアを長く眺めています。自然光の中ではよく見えたけど、照明に照らされた床材が暗く見えてしまうということもしばしば。

床材に迷ったときは、明るい方を選びましょう。

迷ったときは前室合わせ

部屋の中や水まわりの色を迷ったときには前室合わせ、つまり廊下に統一しましょう。

なぜならドアや壁のなどの相性を考えなくても自然とインテリアが馴染むからです。廊下と部屋で床の色が違うとき、ドアの色をどちらに合わせるか迷ってしまいますよね?

普通で無難ですが、綺麗なインテリアは大抵普通で無難です。

グレードは下げない方が良い

迷った挙句にコストが理由で安い方に、というケースも多いと思いますが、床材でそれはやめた方が良いです。

なぜなら床は変えられないからです。床を変えるのはかなりの大がかりなリフォーム工事になってしまいます。

コストダウンであれば先々買い直すことのできる家具、カーテン、照明などで検討しましょう。床材よりはまだキッチンやバスの方が後々のリフォームで対応し易いです。(そもそも設備機器の耐用年数は約15年です)

予算の都合でどこかを削らないといけないとき、床以外に手をつけるところがないか検討してみましょう。

やっぱり住宅の床材は木が良い理由

住宅の床材は木質系がおすすめです。その理由は以下の4つです。

  • 木目を見ると落ち着くのでリラックスできる
  • 紫外線を乱反射させるので目や肌に優しい
  • クッション性があるので脚に優しい
  • 湿気を吸放出するので快適

居住空間にはやはり気が優れています。

まとめ:明るい木質フロアで全室統一がおすすめ

床材に迷ったときは、以下を参考にしてください。

  • 木質感のある床
  • 明るい床
  • なるべく各部屋で変えない
  • 高くても気に入ったグレードで
  • やっぱり木が一番

見栄え、機能、使い勝手などを考えて後悔のないように選びましょう。