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ありがちな失敗を避けて後悔しないサッシ計画をしよう【失敗から学ぶ窓の設計】

窓を大きくしすぎて暑い…

外からの視線が気になる…

暗くて使い辛い…ここに窓を設ければよかったな…

この窓ガラス汚れが気になるけど掃除ができない…

住宅において窓はとても大事です。

なぜなら、窓は光と風を取り入れて外の風景を切り取ります。

光も風も眺めも大事ですよね?

その目的から考えると、リビングの窓は大きい方が良いということは誰でも思いつきます。

ではその他の部屋の窓はどうでしょうか。

どのような窓のサイズ、位置、形状が最適か思いつきますか?

窓の計画はとても難しく、敷地条件やライフスタイルによって正解は様々。

『リビングの窓を大きく』という超基本的な考え方でさえ、場合によっては不正解になることもあります。

様々な失敗例から後悔しない窓の計画を学びましょう。

リビングの窓は大きく!でもここには注意が必要

窓を大きくし過ぎて暑い…

外からの視線が気になる…

『リビングの窓は大きくしたい』と誰でも思います。

大きな窓からは日差し、光がたくさん入ってきて室内が明るく、温かくなり、気持ちいい風も通ります。

庭木が眺められるのも良い点です。

でも、以下の点に注意しておかないとカーテンを閉めっぱなしの窓になるかもしれません

その窓のどっちの方角を向いている?南じゃなかったら要注意

窓を大きく取りすぎて暑いというのは窓ガラスのせいじゃありません。

窓ガラスをペアガラスからトリプルガラスに変えたり、アルミ樹脂サッシから樹脂サッシに変えて断熱性能を上げても、おそらくあまり意味がありません。

ほとんどの場合はサイズや位置などの設計に問題があります。

太陽高度は正午に最も高くなります。(南中高度)

夏は特に南中高度が高いためほとんど室内に日が入りません。

画像引用:『節電レストラン』へようこそ より

https://www.hoshizaki.co.jp/setsuden/tech-column/window.html

つまり、『暑い』っていうのは昼間の日差しが原因ではありません。

午前の日差し、夕方の日差しがその窓からどれだけ入ってくるかを考える必要があります。

リビングの窓が真南であれば大きい窓を設けて良いですが、南西、南東のどの向きなら位置やサイズは気を付けてた方が良いです。

窓のその先は何がある?中からの眺めと外からの視線も考慮

大きな窓を設けるときには視線も考慮しましょう。

大きな窓のその先が、

  • 通りの多い道路
  • お隣さんの窓

だったら外から丸見えでカーテンを閉めっぱなしの窓になるかもしれません。

窓じゃなくて壁の方が良い箇所や、適切な視線隠し(外構工事)などを考える必要があります。

こんなときは全てを捨てて大きな窓を…

日差しや視線の問題は快適に生活をするために考慮すべきですが、このような敷地条件なら何も気にせずに大きな窓を取りましょう。

  • 絶景の海が見える
  • 絶景の夜景が見える
  • 絶景の山々が見える

これらはその土地が持つ潜在能力です。

方角や視線や温熱環境を無視してでも大きな窓を設ける価値があると思います。

窓は大きければよいという問題ではない。寝室や脱衣所の窓は視線に注意

外からの視線が気になる…

窓をとにかく大きく、室内を明るくというのは昔の考え方です。

プライバシーを守る必要性が高い部屋である、

  • 寝室
  • 脱衣所
  • 浴室
  • トイレ

などの窓は必要以上に大きくし過ぎないように注意しましょう。

防犯も考慮。のぞきや泥棒が狙う部屋でもある

これらの場所は防犯も考慮する必要がります。

のぞきや泥棒が狙うのもこれらのプライベートスペース。

大きな窓は防犯性も下げてしまいます。

玄関から侵入する泥棒なんてほぼいません。死角の窓が狙われるケースがほとんどのため注意が必要です。

水まわりの適切な窓のサイズは?60×50センチくらいがおすすめ

では水まわりの窓はどれくらいがいいのか。

迷われる方のために目安をお伝えしておくと、

幅600×高さ500 の 滑り出し窓 がお勧めです。

引用元:明治ホームズ・とことん家造り 榎ブログ

http://blog.livedoor.jp/meijihomes/archives/51212967.html

引用元:価格ドットコム

https://kakaku.com

程よい明るさが確保できるサイズです。

また、上部吊元で下部が開く形状なので、少し開けても室内が見えにくいのでプライバシーをしっかりと確保できます。

トイレ・浴室は小窓を設けた方が良い

窓無しでも問題ないと言われることのある部屋は以下となります。

  • トイレ
  • 洗面脱衣室
  • 浴室
  • ウォークインクローゼット
  • 納戸(物入)

意見にはかなりの個人差がありますが、以下が私の見解です。

  • トイレ   → 必須
  • 洗面脱衣室 → 必須
  • 浴室    → 必須
  • ウォークインクローゼット → できればほしい
  • 納戸(物入)→ できればほしい

この理由は使用頻度と掃除と換気です。

やっぱり自然光が良い

やっぱり自然光は明るいです。

小さな窓でも、北側の窓でも、自然光はやわらかく入ってきて視界を優しく補助してくれます。

毎日使う場所はできれば自然光で生活したいというのが窓必要派の意見ではないでしょうか。

掃除には汚れを見ることから

掃除をするときにはまず汚れを見ることから始まります。

汚れている場所や使う洗剤を確認するためです。

  • 黄ばんだシャツ
  • 汚れた便器
  • 浴槽の水垢

などをしっかりと見る必要があると思うのですが、照明だと見にくくないでしょうか?

電球色(黄色い照明)だとなおさら見にくい。

かといって昼白色(白い照明)にすると夜とても冷たい印象になります。

部屋の雰囲気がとても悪くなります。(言い方すいません)

水まわりには自然が入った方が良いというのは水まわりの掃除が大変だからというのが理由の一つです。

窓を開けて換気したいとき

また、窓を開けると十分な換気ができます。

もちろん換気扇でも可能ですが、よほど強力な換気扇でない限り及ばないでしょう。

  • 強い洗剤を使用して掃除したとき
  • 季節が良く、外から気持ちいい風が入るとき
  • 室内をカラっと乾燥させたいとき

などは窓を開けたくなるように思います。

不要な窓は設けない

対して、不要な窓は設けないようにしましょう。

目的もなくなんとなくあるだけの窓は本当に無駄です。何が無駄かというと、

  • 窓のコスト
  • カーテンのコスト
  • 掃除手間

が無駄です。

特に西側は西日が強く当たるので不快要素になったりします。

まとめ:窓を設ける目的を考えよう

窓は設ける目的以下の通りです。

  • 光・日差しを取り込む
  • 光・日差しを遮る
  • 風を通す
  • 景色を望む
  • 視線を遮る

これらをしっかりと考えて要否、位置、サイズを検討しましょう。